花の魔女
「せっかく仲良く咲いていたのに、摘まなくてもよかったじゃない。」
悲しげな表情をするナーベルに、ルッツはクスッと笑ってから自分も花に目をやった。
「この花は不思議な花で、摘み取ってしまったほうが長持ちするのです。」
そう言いながら、ナーベルの髪を優しく耳にかけ、シャワーライトをそっと髪に挿した。
ルッツの冷たい指先が耳に触れて、ピクリと肩を跳ねさせた。
「花言葉は―――――…。あなたにぴったりだ。」
最後ににこりと微笑み、背を向けると館の方へ戻っていってしまった。
ナーベルは口を少し開いたまま、その場に立ち尽くしていた。
少し頬が熱いのを感じて、片手を頬にあてがった。
(これは――…)
「見たぞ、ナーベル。」