花の魔女
ジャスミン
アイリーンは、洗濯物を詰め込んだカゴを抱えて、かつて親友が暮らしていた家の窓を軽く叩いた。
窓辺に座っていた女性がすぐに窓を開けて顔を出す。
「こんにちは、ナイジェルおばさん」
「ああ、こんにちはアイリーン。今日もいい天気ね」
顔を出したナイジェルはアイリーンを見てにっこりと微笑む。
その笑顔はまさしく彼女が親友の母親だということを証明している。
アイリーンも微笑み返し、手元のカゴを差し出した。
「そう、天気がいいから今日はたくさん洗い物をしようと思って。ついでだから何かない?洗ってくるわよ」
ナイジェルはまあ、と目を見開いてから、それじゃお願いしようかしら、と部屋の奥に引っ込んでいった。