花の魔女
そう言って、早く出せと言わんばかりにルッツを睨みつける。
「そうはさせません、絶対に」
ルッツは懐から何かカードのようなものを取り出した。
「私はあなたがこれ以上罪を重ねていくのを黙ってみているつもりはありません」
「よく言うわ。お父様の力が怖くて、私から逃げ出してしまったくせに!!」
言うなり、ドロシーは草木をザァッと揺らして大量の木の葉をルッツめがけて飛ばした。
まるで刃のような葉が、ルッツの肌に切り傷をつけていく。
「ルッツ…!」
ナーベルは草の陰で葉の刃から体を庇いながらルッツを見守るしかなかった。
助けたいのに、どうすることもできない。
止まらない木の葉の嵐にルッツが身動きを取れないでいるうちに、ドロシーが次の攻撃をしかけてきた。
「風よ、あの男をどこかへ飛ばしておしまい!」
すぐに竜巻がおき、ルッツに襲いかかっていった。
しかしルッツは素早く竜巻をかわし、ルッツを追って竜巻が旋回している間に、隙のできたドロシーにカードを放った。
「きゃああっ!」