花の魔女
カードはドロシーに命中し、ピリピリと電流のようなものがカードから溢れてドロシーの動きを封じた。
ドロシーは痺れて地面に座り込み、涙をぽろぽろと流し始めた。
ナーベルは何が起こったのかわからず、眉を顰めてその光景を窺った。
「ごめんなさい、ルッツ…」
彼女の可憐な唇から、そのような言葉が紡がれたことが驚きだった。
ルッツは優しく微笑み、未だ痺れて動けないでいるドロシーの前に跪いた。
「あなたにかかった呪いが解けるまで、申し訳ありませんがこれをはずすわけにはまいりません。どうかしばらくご辛抱を」
ドロシーは首を横に振り、ふふ、と悲しそうに笑った。
「ルッツが来てくれて、うれしいわ」
そう言ったドロシーの髪が、みるみるうちに黒髪から輝くブロンドに姿を変えて、ナーベルは驚いて目を見張った。
毒気のなくなったドロシーの様子からもう出て行っても大丈夫だと思い、茂みを抜け出し、二人のもとへ駆け寄った。