花の魔女
「ナーベル様」
ナーベルが駆け寄ってきたことに気づいて立ち上がったルッツに、ナーベルは首を傾げた。
「これは一体どういうことなの?」
大人しくなったドロシーの体に未だ纏わりついている電流のようなものが何なのか、ナーベルには全くわからない。
魔法の類でもないようだ。
ルッツは懐からまたカードを取り出し、ナーベルに渡した。
どうやら先ほどドロシー目がけて放ったものと同じもののようだ。
「これは魔力を封じ込めるカード。ラディアン様にかけられている呪いでしたらこれで解くことができるでしょう」
このカードで、ラディアンの呪いを――?
きょとんとするナーベルに、ドロシーが申し訳なさそうに眉を下げた。
「ごめんなさいね。こうするしかなかったの。許して」
「…ドロシー、さん?」