花の魔女


ドロシーの態度の豹変ぶりに戸惑っていると、ルッツはくすっと笑った。


「彼女もまた、呪いをかけられている身なのですよ」


「えっ…」


「お父様もね…」


ドロシーは暗い顔をして、下を向いた。


「私たちは、“あいつ”にいいように使われてたの。こんなことになるなんてわからなかったんだもの…」


地面に座り込んだまま、ドロシーはぐっと手を握り込んだ。


そんな彼女の肩を、ルッツがそっと抱いた。


かつて想い合っていた二人。


離れ離れにされてからも、その想いは変わっていなかったというのをナーベルは感じ、寄り添い会う二人を黙ってみつめた。

それからカードに視線を移したところで、背後で草を踏み分ける音がした。


ルッツがはっとした顔をしたのを見て、敵が来たかと身構え、振り向いた先には




――会いたかった、彼がいた。




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