花の魔女
企みと罠
ナーベルはジェイクとフィオーレが向かった塔へと急いだ。
護衛兵の目を掻い潜り、もう少しでたどり着くというときに、右手の方から矢が飛んできてナーベルの一歩手前の壁に突き刺さった。
真っ直ぐに刺さっている矢に背筋が凍りつくのを感じながら、矢が飛んできた方向に顔を向けた。
護衛兵たちが、ナーベルに向けて弓を構えていた。
レジスや闇の精霊に近づけば近づくほど、敵に見つかる危険は高くなるだろうとは思っていたのでさほど驚きはしなかったが、戦い慣れしていないナーベルはいきなり矢が放たれると反応できないので困る。
おまけにいつの間にか囲まれていて、じりじりと壁際に追い詰められてしまった。
「動くな。おとなしく捕まれ」
一人の兵がナーベルに向かって手を伸ばしてきたところで、大人しく捕まるつもりなんかないナーベルは、さっと手を動かした。