花の魔女


「ところで、ラディアンの呪いは解けた?」


「はい。でも、その…、怪我をしてしまってルッツさんが手当をしているんです」


「そう。あとでたっぷりお灸をすえなきゃね」


怪我をしていると言ったのが聞こえなかったのだろうか。


固まっているナーベルを見てアナベラはころころと笑った。


それから道の先を指さし、


「この先を真っ直ぐいけば塔に着くわ。早く行ってあげて、だいぶ苦戦しているみたいよ」


追手はまかせて、とウィンクした。


とても頼りになるアナベラに尊敬の念を抱きながら、相変わらず日傘をくるくる回して微笑んでいるアナベラに一礼し、彼女の指示した道の先へと走った。


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