花の魔女
修行不足なのは、今回のことで身に染みて感じた。
だからこそ、ナーベルの成長に焦りを感じていた。
今の彼女に自分は必要ないのではと感じる。
守ってやりたいとは思っても、ナーベルなら自分の力で切り抜けることができるだろう。
黙り込んだラディアンに、アナベラはため息をついて今度はぺちりと頬を叩いた。
「落ち込んでいる場合じゃないわよ。ナーベルさんは、あなたのために強くなったの。あなたを助けたい一心で、花の力を手に入れたのよ」
ラディアンの気持ちなんかお見通しのようで、アナベラはラディアンを叱りつけた。
アナベラの表情は真剣で、ラディアンは言い返すこともなく大人しく聞いていた。
自分のために…
それは、嬉しくもあり悲しくもあった。
アナベラは黙ったままのラディアンの肩に、そっと手を乗せた。
「今度はあなたの番よ、ラディアン」
「え?」
顔をあげ、アナベラの顔を見た。
相変わらず真面目な表情をしてラディアンと向かい合っている。
「ナーベルさんが姿を消したわ」
冗談で言っているようではないアナベラの言葉に、一同は凍りついた。