花の魔女
第四章
謎の王子
「ん…」
ナーベルが目を覚ますと、見慣れない天井が目に入った。
「ここは…?」
体を起こし、きょろきょろと辺りを見回した。
あまりに殺風景な部屋で、置いてある家具をいえば木のテーブルと一脚の椅子、そしてナーベルが寝かせられていた質素なベッドだけだ。
鉄格子の嵌められた窓から、風が吹き込んできてナーベルの髪を揺らした。
ナーベルは窓に近づき、外を確認した。
窓から見える景色は、見たこともない街が広がっていた。
どうやらナーベルが閉じ込められている場所は、街をよく見渡せる高台にあるようだ。
ぼんやりと景色を眺めていると、扉の向こうから足音が近づいてきてナーベルはビクリと体を強張らせた。
案の定、足音はナーベルがいる部屋の前で止まり、一人の男が中に入ってきた。