花の魔女
「あーあ、やっぱりだめね。難しいわ」
庭のテーブルに紅茶とお菓子を並べてティータイム。
花は浮かべたもののそこから全く動かないので、ナーベルはさすがに落ち込んだ。
「何だ?もうスランプか。集中力がないんだよ、集中力が」
クッキーを口に放り込みながら、ジェイクがばかにしたように言う。
ナーベルは少しむっとしながら紅茶をすすった。
「もう少しなのよ。でも、あともう少しがわからないの」
ナーベルはティーカップを手に持ったままかくんと項垂れた。
「この前みたいに、ラディアンに力を借りるといい」
ジェイクがにやりとして言った。
ナーベルはぶんぶんと首を横に振る。
「だめよ、あんまりラディアンに頼ってばっかりじゃ、自分の為にならない」
「とか言って、ほんとはラディアンに話しかけづらいだけだろ」
「……」
何かとラディアンを話に組み込んでくるジェイクを横目で睨んだ。
でも言っていることは当たっているので何も言い返すことができない。
「私、散歩してくる」
ジェイクの攻撃から逃れたくて、そんなことを言ってジェイクの傍から離れた。
「こら、サボる気か」
「いいの、集中できないんだもん。気分転換よ」
まだジェイクが何か言っていたが、あまり聞き取れなかったので無視して家を離れた。