花の魔女
「驚いちゃったわ、私」
「だからって、フィオーレを連れてこなくてもいいだろう」
ジェイクは少し不機嫌そうに口を尖らせている。
ナーベルはジェイクに会いたいというフィオーレをジェイクのいる家まで案内した。
なぜか、ジェイクはそれが気にくわないらしい。
こんなに美しい奥さんなのに、どうしてかしらとナーベルは頭を捻った。
ジェイクがむすっとして言う。
「折角、フィオーレの目の届かない場所を作れたと思ったのに。お前のせいだぞ」
それを聞いて、フィオーレがすかさず口を挟む。
「ジェイク。仮にも主人にそのような口を聞くものじゃありませんわ」
「こいつはまだ主人と呼べるほどの力を持ち合わせてねぇよ」
「それでも、です!」
このやりとりを聞いて、ナーベルはやっとジェイクがフィオーレを避けようとする理由がわかった。