花の魔女
フィオーレは見かけに反して口うるさく、頑固なのだ。
つい最近、どこかの母親を頑固者だとばかにしていた男はどこに行ってしまったのだろうか。
ナーベルはジェイクに気づかれないようにくすりと笑った。
「フィオーレ、ジェイクの言うとおり、私はまだ半人前どころか初心者も同然なの。主人だなんて、呼べるものではないわ」
ナーベルが少しジェイクを助けてやろうとしてそう言えば、フィオーレはとんでもない!と叫んだ。
フィオーレの花が彼女の動きにあわせて散った。
「ナーベル様は未来の魔女様。わたくしたち精霊を統べる者。例え今は力がなくとも、あなたは必ず立派な魔女様になられますわ!」
「「………」」
ナーベルとジェイクはフィオーレの気迫に押されて、固まってしまった。
特にナーベルは、自分がなろうとしている《魔女》というものがすごいもののように感じ、おののいていた。
(私、無理な気がするわ……)