花の魔女
ナーベルは顔をしかめた。
「……もしかして、私に嫉妬してるの?」
「もちろん」
さらりとそう言ってのけるジェイクに、こちらが恥ずかしくなってジェイクから目を逸らした。
ナーベルの様子を見ていたラディアンはくすくすと笑って、ナーベルに隣に座るように促した。
ナーベルが隣に座ると、当たり前のように腰に腕をまわしてきたので、慣れないナーベルは緊張してしまった。
ラディアンは平気なのかしらと思うと、少し不安になる。
「そういう話をしていたんじゃないよ。今のはジェイクのただの悪ふざけだ」
ナーベルがジェイクを睨むと、ジェイクはベッと舌を出した。
「じゃあ、一体何の話をしていたの?」
気をとり直して尋ねると、二人は一旦顔を合わせてからラディアンが言った。
「今日は泉にでも行こうかって話をしてたんだ」
泉、という言葉にナーベルは目を輝かせた。
水に関係する場所は、小さい頃から大好きだった。
「泉!行きたい!」
「君ならそう言うと思った」
笑顔でそう言うラディアンを見上げ、ナーベルは初めてあることに気づいた。