花の魔女
「この場所は風の力、水の力、大地の力が豊富なのですわ。魔女になるためには、この力を使いこなせるようにならないとなりませんの」
ジェイクを打ち負かしたフィオーレが、ラディアンの説明に補足した。
ナーベルはラディアンを見上げた。
「ラディアンは、もうこの力が使えるの?」
「ああ……うん。そういうことだね」
ラディアンが遠慮がちに答えたので、自分に気を使っていることがわかった。
(ラディアンは私が修行を終えるのを待たないといけないのね)
申し訳なく思い、気が沈みそうになったが、気を取り直してラディアンに笑顔を向けた。
「早くラディアンに追いつけるように頑張るわ」
ラディアンはナーベルの言葉に、優しい目をしてナーベルを見つめた。
ナーベルもラディアンの瞳から目を逸らすことができずに、自然と見つめあう形になった。
ラディアンの瞳に吸い込まれそう―――
なんて、思ったとき。
「やめてくれ。どうしてお前らはちょっと目を離すとそうなるんだ」
ジェイクのうんざりした声にはっと我に返り、あわててラディアンの傍から飛び退いた。