花の魔女
「なんですって!?」
ナーベルから話を聞いたあとのフィオーレの驚きようときたらなかった。
部屋中に声が響いて、窓ガラスがビンッと揺れた。
「自分たちが力を手に入れるためにラディアン様とナーベル様を引き離したのですか!?許せませんわ!!」
今度はテーブルの上に置いてあった空の花瓶がガチャンと音をたてて床に落ちた。
ジェイクはどうしようもないという顔をして壁に背中を預けている。
「フィ、フィオーレ、落ち着いて……!」
ナーベルが青ざめながらフィオーレを落ち着かせようと手を伸ばすと、その手をぐいっと取られて握りしめられてしまった。
「え?」
目の前には、先程の怒り狂った姿とは打って変わって、うるうると目に涙を浮かべたフィオーレがいる。
「こんなのって、ナーベル様が可哀相ですわ。せっかくラディアン様と幸せに暮らして、結婚するために魔女修行にも一生懸命励んでいらっしゃいましたのに……」