オレの破裂と15分前
「キャーッ!!」
後ろの方で、ズデーン!! と大きな音が聞こえた。
振り返るとそこには、買い物袋をひっくり返して倒れている女の姿。
「あーん。もうヤダー!!」
ざわ……ざわ……
倒れた女は、オフィス街のど真ん中で、子供みたいに思いっきり叫んだ。
周囲の視線は、彼女に釘付けだ。
「バカ、バカ、あたしのバカ……」
彼女は小声でブツブツと言いながら、散らばった事務用品を拾い集めている。
気になったオレは、その女に近づいてみると……
「あ」
「えっ……。キャーッ!!」
彼女は、驚きのあまり拾い集めた事務用品を、再び空中へと放り投げた。
パラパラ……。
鉛筆、ボールペン、ルーズファイルなどが彼女の周りへと落ちる。
「い、石上さん……」
「いいから、拾おうぜ」
「は……、は、ハイ」
オレが頭の中で考えていた事が、本当に発生した。
この状況で、一番声を上げたいのはオレの方だ。しかし、明らかにビックリ度は彼女の方が上だった。