私の彼氏君
        ~第7話~

「ねぇ目閉じて?」

「へっなんで?」


疑うような君の目線を無視して、俺はにっこり笑う
そうすれば彼女は、呆れた表情をしながらも目を閉じた。


うわっ睫毛長いなぁ………じゃなくて
彼女に見とれて、本来の目的を忘れるところだった


「まだ?」

「まだそのまま
ねぇ目を閉じたら何が見える?」

俺の質問に彼女は眉間にシワを寄せ、う~んっとうねりだした。
また暫くしたら今度は、目を開けて「血管?」と自分でも良く分かっていない答えが返ってきた。


「ふっ……血管ね」

あっヤバいちょっと面白い
俺の笑う声が、気にくわなかったらしく「じゃあ伊織は?」だなんて聞いてくるから

俺はまたにっこり笑って答えたんだ



「お前が見えるよ」





【瞼の裏】

予想通り君は顔を真っ赤にした
うん、やっぱり俺ってかっこいい
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