シオンの詩
探し人
《リレカテ》の経済特区は俗に《暗黒街》と呼ばれている。
そこは、薬の売人や娼婦、マヒィアが支配する司法権力が及ばない世界
その一角の酒場に一人の少女と黒猫が入ってくる。
少女は短い黒い髪と大きな眼に紅の瞳をしていた。
服装の色は、黒で統一され、つばのない帽子をかぶり、首まで隠れるインナーとコートにフリルのスカート、腰のベルト後ろにはたくさんのポケットの着いたポーチ、右足の太腿には古びた六連式リボルバーの銃が入ったホルスターが縛り付けられていた。少女は、店主の目の前のカウンター席に座る。
「ペットは連れ込み禁止だ」
酒場の店主は無愛想にグラスを磨きながら言った。
黒猫はカウンターに俊敏な動作で飛び乗り不機嫌そうに答える。
「行儀はいい方だ」
店主は少し驚いたような顔をした。
「私はシオン、こっちは黒猫のクレネカ。
彼も同席してもいいですか?」
シオンがそう聞くと、店主は黒猫のクレネカが機械型のペットか何かだと思ったのか渋々了承した。
「お穣さん、ここは治安はかなり悪い。
こんなところに一人で何しにきた?」
「人を探してます」
「手掛かりはあるのか?」
「名前と顔だけです」
店主は笑う。
そこは、薬の売人や娼婦、マヒィアが支配する司法権力が及ばない世界
その一角の酒場に一人の少女と黒猫が入ってくる。
少女は短い黒い髪と大きな眼に紅の瞳をしていた。
服装の色は、黒で統一され、つばのない帽子をかぶり、首まで隠れるインナーとコートにフリルのスカート、腰のベルト後ろにはたくさんのポケットの着いたポーチ、右足の太腿には古びた六連式リボルバーの銃が入ったホルスターが縛り付けられていた。少女は、店主の目の前のカウンター席に座る。
「ペットは連れ込み禁止だ」
酒場の店主は無愛想にグラスを磨きながら言った。
黒猫はカウンターに俊敏な動作で飛び乗り不機嫌そうに答える。
「行儀はいい方だ」
店主は少し驚いたような顔をした。
「私はシオン、こっちは黒猫のクレネカ。
彼も同席してもいいですか?」
シオンがそう聞くと、店主は黒猫のクレネカが機械型のペットか何かだと思ったのか渋々了承した。
「お穣さん、ここは治安はかなり悪い。
こんなところに一人で何しにきた?」
「人を探してます」
「手掛かりはあるのか?」
「名前と顔だけです」
店主は笑う。