シオンの詩
日が少し落ちた頃シオンとクレネカは目的地に着いた。

リレカテの都市の中でも比較的に人気のない場所に高い壁に囲われた立派な建物があった。

《リレカテ情報生体工学研究所》

クレネカは外部から取り込んだデータをシオンに話しはじめた。

当時、情報生体工学研究で名を馳せたこの研究所は地元の資産家が研究者を集め建てられる。

しかし《コロナ》が開発されたことにより時代遅れとされた情報生体工学の研究は廃れていき、《リレカテ情報生体工学研究所》の研究者も《コロナ》の機械に搭載するための技術者として民間の機械開発企業に引き抜かれていく。誰もいなくなった研究所は閉鎖された。

シオンは研究所の正面のゲートを見て言った。

「まだ扉のコントロールパネルが生きてるみたい…開けられる？」

シオンは肩に乗るクレネカに聞いた。

「任せろ」

クレネカの首輪から先端が鋭く尖る特殊な接続端子がついているコードが生き物のように動きゲートのコントロールパネルを突き刺した。ゲートのコントロールパネルに適合者と認証するシグナルがでる。同時にガシンというゲートのロックが外れた音がした。

重い扉は動き出した。

「流石だね」
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