シオンの詩
クレネカの首輪から伸びていたコードは再びに巻きとられ収納された。

「行こうか」

クレネカはシオンの肩から降りて言った。

ゲートを通ると広い庭と石畳の通路が研究所へと続く。

庭は長い間手入れされていなかったようで芝生や木は荒れ果てている。

石畳の道を進むにつれてやがて見えてくる研究所の扉の大きさと美しさにシオンとクレネカは感嘆の声をあげた。

小柄とはいえシオンの身長の5倍強の高さがあり幅は丁度大型のトラックと同じぐらいの広さがある木製の扉で表面には美しい模様が彫刻されてあった。

シオンは研究所のその重い扉を両手で押す。

扉はギイイィという音をたてながらゆっくりと動いた。扉が少し開いただけでもシオンとクレネカが通るには十分な広さがあった。

研究所の中は暗く、冷たい空気がシオンを通り過ぎる。

シオンとクレネカがほんの少し足を進めると証明が作動し広いエントランスを照らし出した。空調も同時に作動したらしくだんだんと温かくなりはじめる。
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