内緒の想いを抱きしめて
廊下をふたりで歩いた。


ドキドキがとまらなくて倒れそうで、
きっと頬が真っ赤で林檎みたい。


先輩が鍵を閉める動作ですら、
わたしはカチンコチンになってしまった。







帰り道。


わたしがひとりだって言ったら、
一緒に帰ろうって言ってくれた。


夜の道。


駅までの道のり、
先輩がわたしの隣にいることが夢のようで幻のようで。

消えてしまいそうだった。


「いつも帰りひとり?」


先輩に何か聞かれるたび、
一生懸命答えた。


「いえ、いつもは友達がいるんですけど今日は…」


「ああ、あの子。いつも一緒にいるね」


胸が、
ズキン、
とした。



先輩、杏奈ちゃんのこと知ってるんだ…


杏奈ちゃん可愛いもんね。



ひとりで納得して、
ひとりで落ち込んだ。
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