内緒の想いを抱きしめて
想い
暗い気持ちでホームに立った。
スカートの裾が風に揺れるたび、
足に触れて気持ち悪い。
隣にいる杏奈ちゃんも今日は気分が優れないらしい。
おはよ、と言ったきり何も話してこない。
電車の中でもずっと話さなかったけど、
学校の近くのスーパーあたりで、
わたしは思いきって聞いてみた。
「どうしたの。何かあった?」
努めて明るく、
笑顔をつけて。
「ああ…」
唇を噛んで、しばらく黙っていたけど、
杏奈ちゃんはゆっくり話しだした。
「あたしさぁ……泊まり行くって言ったじゃない?」
「うん」
「それをね、ちょっと早めて…実は昨日行ったの」
…し、知らなかった……。
だから早退だったのか。
「そしたら……もういやになった。一緒に寝たけど、やっぱり……」
ぎくっとしたときには、すでに杏奈ちゃんは泣き出していた。
どうしようと焦って、あわてて近くの公園に連れていった。