内緒の想いを抱きしめて
「なんでわかるの?もしかしてわたしって、わかりやすい?」


そういえば先輩にも見てたことばれてたし……


「ばか、あんたね、いつもあたしの話なんてまともに聞いてなかったじゃん。明後日の方向ばっか見てさ」

「そ、そうですかね」


「そーよ、誰とまではわからないけど、こいつ絶対好きな人いるって確信してた」


そしてふいに真面目な顔つきになってブランコを止めたので、
わたしはぎくりと身を固めた。


「言ってくれなくて、ちょっとさびしかった」


頬を膨らませて杏奈ちゃんが言った。


「ご、ごめん」

「いいよ」


あっさり言って、またブランコを漕ぎはじめる。

わたしはぽかんと口をあけてそれを見守った。


「あんたのことだから、まだ言うのは早い、とか思ってたんでしょ。どーせ」

「………」


ばれてる。


ふふっと杏奈ちゃんは笑った。


「いいよ、あんたのそういトコ好き」


ブランコをさらに大きく漕ぎだした。


「ゆっくり進むのはいいけど、あんまりのんびりしてたらだめだよ。別の女にとられちゃうから」

「えっ」


杏奈ちゃんは大きく揺れるブランコから飛び降りて、
にっこり笑った。


「さ、行こうか。学校」

「うん!」


杏奈ちゃんの言葉に、決心した。

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