内緒の想いを抱きしめて
友達との恋バナ。


わたしはいつもこの瞬間、言おうか言わないか迷ってしまう。

ひとりで、誰にも打ち明けないで想いを抱えているのは苦しかったから…



「ねえ、好きなひといないの?」


友達のひとり、杏奈ちゃんがわたしに尋ねた。


「うん、いないよ」


即答。

やっぱり、言うにはまだ早いと思った。


「実はー、私彼氏できたの」


杏奈ちゃんが目をきらっとさせて言った。


「えっ、そうなの?誰ー?」


わたしは努めて明るく、興味深々、という感じで尋ねた。

杏奈ちゃんはわたしの前に携帯をずいっとつきつけた。


「この人!」


携帯の画面に写されているのは、わたしの知らない人。


「誰?」

「先輩。三年生で、ラグビー部」


驚いちゃって声もでない。

この間、彼氏と別れたばっかりじゃなかった?


「え、杏奈ちゃん、高校入って何人め?」

「うーん、何人だろ?5人?6人?」


わたしが先輩に片想いしてる間にそんなに……



それって、ほんとに恋なの?


相手のこと、ほんとに好きなの……?




< 5 / 23 >

この作品をシェア

pagetop