内緒の想いを抱きしめて
「おはよー」

「おはよー、杏奈ちゃん」


土曜日の朝のホームで、杏奈ちゃんに会った。


杏奈ちゃんはサラサラのストレートの髪を風になびかせて、
ちょっとメイクしたりして、
オシャレって感じにキメてる。



いいなぁ、
これだけ可愛いければ苦労しないんだろうな。


なんてわたしが思っていると、
杏奈ちゃんがわたしに顔を近づけて、
こそっと耳打ちした。


「ね、先輩に泊まりこいって言われた」


と、ま、り…?



「え?」


思わず聞き返してしまった。


「来週、親いないからって。ほら、みて」


ケータイを取り出しながら杏奈ちゃんは言った。


「あ、ほんと」


ハートマークがいっぱいついてるメール。


「…で、杏奈ちゃんはどうするの?」


「どうしたらいいかな?」


そんなっ、
恋愛経験ゼロのわたしに聞かれても…


「…行かないほうがいいんじゃないかな?早くない?」

「でもさぁ、断れないよね、やっぱさ」


じゃあ…


「行くの?やっぱり」

「行ったら行ったで怖いのよね」

「強引そうだもんね」

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