トップモデルたちの恋


  あたしの中の時計が

  止まった。

  なんで?

  そう聞きたいのに

  あたしの腕の中で

  悔しそうに

  顔をゆがめる元気君を見ると

  聞けなかった


 
 「わかった」


 
  あたしはそういって

  彼にハンカチを渡して

  屋上を去ろうとした



  隣にはないているひなを

  けいが慰め続けている

  その様子を

  眺めつつあたしたちを

  心配している3人の姿があった

  
  
  …ごめんな

  元気クンがつぶやいた言葉を

  聞かなかったことにした

  
  
  元気君、気づいてたけど

  あえて突っ込まなかった

  初めて本名で名前言ってくれたよね?

  強引でつらい恋だったけど

  そのときはじめて

  あなたを愛しくかんじたよ

  短い間だったけど

  …ありがとう


  そう心の中でつぶやきながら

  あたしは屋上をあとにした

  










  …こうして

  あたしたちを振り回した

  偽者の恋は

  幕を閉じた














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