優しい本音で、溶かして。
「えっと・・・」

何て答えていいか、わからなかった。


男の人は、少し癖毛っぽい緩やかな栗色の髪で、黒渕眼鏡をかけている。

ピシッとスーツを着こなした【大人の男】って感じ。

だけど、人をひきつけるような、そんな雰囲気をかもし出していた。



「結婚式に、出席してた・・・?」


男の人が、あたしに静かに問いかけると、ゆっくりと頷いた。


「そっか・・・」


男の人は柔らかく微笑むと、あたしの隣に腰を下ろした。



何だか・・・この人といると、不思議な感じがする。

何となくだけども、安心できる。


そんな気持ちで、彼を見つめていると



「名前・・・何ていうの?」



スッと、耳に入ってくるような優しい声で、男の人は聞いてきた。


「乃恵・・・」


ポツリとそう答えると、男の人は『そっか』と言って軽く笑った。






「俺は、小澤響(オザワヒビキ)。よろしく」






小澤さんは、そう言って、手を差し伸べてきた。







これが、あたしと小澤さんの出会い。






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