飴色蝶 *Ⅱ*
「すみれ、それは無理だ
 世話になった組の一大事に
 自分だけ、尻尾を巻いて
 逃げるような真似は俺には
 できない
 
 こんな俺を親と認めて
 今まで付いてきてくれた
 彼らを裏切ることは
 絶対にできない
 
 この命が燃え尽きようとも
 俺は高月組の三代目として
 高月組の行く末を見定め
 なくてはならない
 
 幾ら、それが愛する
 
 お前の頼みでも・・・」

長い沈黙が、二人を包む。

「すみれ、お前が
 俺の言う事を、聞けない
 のであれば、やっぱり
 俺達は別れるしかない」

「イオリ?」

「正直、抗争になれば
 自分の身を守るだけで
 俺は手一杯になるだろう
   
 こんなこと言いたくは
 無いが、お前は
 俺の足手まといになる」
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