飴色蝶 *Ⅱ*
そして、微笑んだ後

じっと庵の瞳を見つめる。

そんな菫の頬に、庵は触れ

低い声で囁く。

「愛してる」

二人は口づけを交わし
彼女を胸に抱く。

菫は、庵の体の上に身を委ね
彼の鼓動の音を聞きながら話す

「アラタさんに逢ったの」

「ホソヤか?」

「ええ、彼、こう言ってた
『いつ抗争が勃発するとも
 限らない、抗争が落ち着く
 までの間は、彼と離れて
 逢わない方がいい』
 
 でも、私はイオリの傍を
 離れないと彼に告げたわ
 あの時は、貴方の傍を絶対に
 離れないつもりでいたから
 ・・・・・・・・・
 そしたら、アラタさん
 私を抱きしめて言ったの

『大丈夫だよ』って
 その時の彼の表情が、私
 引っ掛かるの、彼
 私の為に、何かを考えている
 いったい、何を考えているん
 だろう?」  
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