飴色蝶 *Ⅱ*
庵の現れる場所には、いつ
発砲事件が起こるとも限らない
 
緊迫した空気が流れる中
庵の命を守る為に、たくさんの
護衛が、彼の姿を隠すように
取り巻いていた。
 
その姿を、遠くから見つめる
会澤組の組員達。

「どうだ、狙えるか?」

「ああ」

ライフルの銃口を、庵に向けた
その時

「おい、待て」

高月組本部事務所の前、停車
された、車に乗り込もうとした
庵の傍へ近づく女性の姿。

「あれは・・トモエお嬢さん」

巴を呼び止める、高月組の
組員の声。

「ちょっと、君
 ここで何してる」

何も答えずに、庵の傍へ
近づこうとする彼女を怪しく
思った組員は

取り押さえようとした。

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