飴色蝶 *Ⅱ*
その時、巴は、護衛に
囲まれている庵にまで
聞こえるように大きな声で
彼の名を叫んだ。

庵の耳に届く

・・・女性の声。

庵は、菫の声だと勘違いして
護衛の合間を抜け
その姿を現した。

あれは、紛れも無く三代目の姿

今なら完璧に

高月組三代目組長の

息の根を止める事ができる。
 
完璧に・・・

男の顔に笑みが零れた。

失敗は、許されない。
 
そう思った会澤組の組員は
ライフルを構えた。

「おい、やめろ
 トモエお嬢さんに
 銃弾が当たるだろうが」
 
頬を打たれた男は正気に戻り
ライフルの銃口は下を向いた。
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