飴色蝶 *Ⅱ*
帰りかけた朱莉は
振り返って立ち止まる。

「そうだ、スミレちゃん
 体、冷やしちゃダメよ
 温かくしてね」

朱莉は、コツコツとヒールの
音を響かせて帰って行った。

菫は、朱莉を見送った後
静かにドアを閉め鍵をかけた。
 
そして、脱いだ靴を片付けよう
としたその時

靴箱に設置された全身鏡に映る
自分の姿に立ち止まる。

菫は靴を片付けた後、鏡に映る
自分の姿を、腹部をじっと
見つめて、そっと、そっと
両手で触れてみた。

触ったお腹は、ポカポカと
温かくて、自分の体なのに
何だか違う・・・

異様な感じがした。

でも、この感触は

とっても素敵。

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