飴色蝶 *Ⅱ*
今の巴には、菫が悲しむ
気持ちよりも
 
狂おしいまでに庵を想う
自分の気持ちの方が勝り
 
自分の想いを満たすべく
その気持ちを優先させて
しまった。

バックミラーで庵の姿を
見つめる要。

庵がいったい何を考えて
いるのか

要には、さっぱり分からない。

『もしかして庵は、彼女
 巴の事を
 愛しているのだろうか?』

要の心配を他所に、庵は
巴を腕に抱いたまま
 
何も語らずに、ただ
窓の外を見つめる。
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