飴色蝶 *Ⅱ*
彼女の頭の中は

庵の事でいっぱいだった。

庵に、逢えるかもしれない。

庵の姿を、一目だけでも見たい

彼の元気な姿を・・・

ずっと、我慢していたんだもの

これは、偶然なんだもの。

庵に、逢ってもいいよね。

イオリ、いいでしょう?

どうしても今

あなたに逢いたい。

幹生は、思い出す。

雪乃の部屋に庵を呼び出した
あの日

さっきの男性は、庵の傍で
彼を守っていた男。

「そうだ、思い出した
 イオリと一緒にいた
 あの厳つい男」

「ミキちゃん、車
 Uターンできないかな?」

幹生は車を走らせ、Uターン
させて来た道を戻って行く。
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