飴色蝶 *Ⅱ*
貴方が
彼女を選んでしまったら

捨てられた私は、一人で
この子を、育てて行ける
だろうか?

一人きりで・・・
  
妊娠中は、ただじゃなくても
体の劇的な変化に心が
付いていく事ができずに
不安定になるもの。
  
菫の心は、今、不安な思いが
駆け巡り

どんどん積み重なって

その重さに押しつぶされそう
になっていた。

涙が、止まらない。

「橘川さん、付き添いの方は 
 いらしてますか?
 待合室かしら
 田上さん、呼んで来て
 あげてくれるかしら」

「いえっ、大丈夫です
 ごめんなさい
 一人で、ちゃんと聞けます」

手で涙を拭い、先生を
見つめる菫。
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