飴色蝶 *Ⅱ*
先生は、菫と向き合い
彼女の手を取り

しっかりと握り締めて言う。

「不安な思いは
 全て吐き出しなさい
 あなたの思うようにしなさい
 誰もあなたを責めたりしない
 
 赤ちゃんは
 お母さんに泣いてほしくない
 お母さんには、笑っていて
 ほしいもの
 
 もしも、あなたが妊娠を
 望まなくても、赤ちゃんは
 あなたを責めたりしない
 あなたが大好きだから」

「私、産みます
 赤ちゃんができて
 心から嬉しいもの」

「そう、だったら
 もう、泣いてちゃいけないわ
 今日帰ったら、ちゃんと
 パートナーにも話す事
 あなただけの赤ちゃん
 じゃないもの」

「はい」

菫が妊娠二ヶ月だと言う事を
雪乃と幹生に話すと、二人は
心から喜んでくれた。
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