飴色蝶 *Ⅱ*
組員達は、その言葉に賛同して
ざわめき出す。
 
そんな組員を静まらせる為に
会澤組長は机を思いっきり強く
叩いた。

その音に、室内は静まり返る。

「駄目だ、そんな事では
 手緩いわ
 あの若造は、昔のイチヤと
 同じように
 この俺を、馬鹿にして
 この俺に、歯向かった
 奴だけは、絶対に許さない
 
 それに簡単に勝負が付いては
 面白くない
 俺に反発しては、この世界で
 生きていけない事をたっぷり
 と、アイツに教えてやる」

息子程も、年の離れた庵を相手
にそこまで、冷静さを失う組長
を大人気ないとさえ、感じる
組員達

これまでも、組長の自分本位な
やり方に何の疑問も唱えずに
彼を慕い、付いて来た組員達の
中にも、この件に関しては多数
顔をしかめる者もいた。
 
今の彼にとって庵は、誰でも
無い

高月 一夜、そのものなのだ。
< 180 / 410 >

この作品をシェア

pagetop