飴色蝶 *Ⅱ*
「やめて、返して
 返しなさい」
 
「おじょうさん、すみません
 見させて頂きます」

そう言って、発信履歴を見ると
そこには、庵の名前があった。

それをそのまま、組長に渡す。

彼の顔色が変わり、巴の頬を
腫れるほどに強く打った。

「トモエ、お前は
 いったい何を考えている
 お前、まさか・・・
 奴に本気で、惚れてるんじゃ
 ないだろうな?」

打たれた頬を押さえながら
巴は父親を睨みつめた。

「そうよ、私は
 心からイオリを愛してる」

会澤組長は、困り果てた表情
を浮かべた。

「お前という奴は、どうして
 そう次から次へと・・・」

巴は、自分の想いを父親である
会澤にぶつけた。

「それを言うなら、いつも
 お父さんが悪いのよ
 私に、彼らを会わせたり
 するから・・・
 
 兄さんだってあなたが私に
 会わせた、それも異母兄妹
 だって事を知らせずに・・
 そして、私から取り上げた
   
 今度もあなたは、敵だって
 知らせずに、私にイオリを
 会わせて、一緒にさせよう
 とした・・・
 全部、あなたのせい・・・
 イオリだけは、絶対に
 あなたには渡さない」
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