飴色蝶 *Ⅱ*
「待ってくれ
 俺の親父には妹はいない」

「遠い昔に死んだ妹の事など
 お前に話す必要は無い
 いや、違う
 話せる訳が無いだろう
 禁断の愛によって産まれた
 お前には・・・」

菫が抱きしめる、庵の顔色が

どんどん青褪めていく・・・

そんな彼を悲しい瞳で見つめて

会澤は、銃口の先を庵に向けた

「俺はもう、お前が誰かなんて
 この際、関係ない
 お前を、愛しているが
 お前が、憎くて堪らない
 俺は、この手でお前を殺す」
 
会澤組長の瞳に映っているのは
  
もう、庵ではない。

菫の背中の後ろで、カチッと
音が聞こえる。

切り裂くように重い空気が

背中を伝い
 
心臓に語りかけてくる。

死を感じる・・・
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