飴色蝶 *Ⅱ*
「親父」

「アラタ、動くな
 気が散って、お前まで撃つぞ
 ・・・・・・
 さあ、お嬢さん
 ゆっくりと彼から離れなさい
 じゃないと、君の体も銃弾を
 浴びることになる」

菫は、後ろを振り返らずに
震える両手で、精一杯に
庵を抱きしめ

彼から離れることは無い。

「すみれ、俺から離れるんだ」

「いや」

菫は、首を左右に何度も振り
決して、庵を抱きしめた手を
解かない。

庵の口調が、激しくなる。

「すみれ、早くしろ」

菫は、必死に庵に抱きつき
離れずに耳元で囁く。

「イオリ
 もう、二度と
 離れないと誓うから
 貴方の傍に居させて」 

私は、もう一度、貴方に誓う。
< 216 / 410 >

この作品をシェア

pagetop