飴色蝶 *Ⅱ*
わたしは、この世界に

身を置いて初めて知る

自分の弱さに戸惑う。

そんな中、菫にかけた言葉を
思い出す。

『彼の命は必ず、私が守る』

睨み付ける庵の瞳の

ずっとずうっと

奥に見える。

菫と産まれてくる子供の為に
必ず彼を守る。

誰かが、誰かの命を狙う

そんな緊迫する空気の中
 
新は、何を思い立ったのか
声高らかに笑い出す。 

そして笑い声が止まったかと
思うと、今度は真剣な表情で
庵に言う。

「美しい悪魔さんよ
 お前になら、魂を
 吸い取られても構わない
 
 親子諸共、あの世に連れて
 行くがいいさ」

「だったら

 そうさせてもらう」
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