飴色蝶 *Ⅱ*
庵は、夜の街を、護衛を
引き連れて歩く。

どこへ向うでも無く・・・

ただ、この胸の虚しさを

寂しさを忘れたい。

一人きりの寂しさなら

痛い程に知っていた。
 
馴れっこのはずだった・・・
  
それなのに、夜になると
菫の温もりを探してしまう。
 
彼女の存在を求めて、毎夜
眠る事さえできない。

自分の精神をとことん
追い込んで、心身共に
疲れさせて眠りにつくか。

又は、酒を浴びる程に飲み
泥酔して眠りにつくか。

しかし、やっと眠りにつく
事ができたとしても

冷たい沼に足元を捕られ
引き摺り込まれて行く
夢に、眠りは妨げられる。

そして、深夜に一人きり
お前のいない寂しさに
耐えられない俺がいた。
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