飴色蝶 *Ⅱ*
庵は、銃を握る手に力を込める

「待て、待ってくれ
 アラタ、今すぐ銃を捨てろ」

新は、首を左右に振る。

彼の決心は、変わらない。
 
「・・・分かった、この俺も
 銃を捨てる
 アラタ、さあ、同時に
 銃を捨てよう
 その後は三代目、お前の好き
 にすればいい
 
 ただ、こんな事を頼むのは
 筋違いだとは思うが息子の
 命だけは、生かしておいて
 やってはくれないか?」

「父さん」

庵は、頷いた。

庵は、最初からこうなる事を
願い、新に銃を向け、賭けに
出たのだった。

息子を思う親であれば、必ず
や彼の為に銃を捨てるだろう

思惑通りに事が運ぼうと
していた。
< 230 / 410 >

この作品をシェア

pagetop