飴色蝶 *Ⅱ*
新に、銃を渡そうとした男に
庵は言う。

「よく、考えろ
 アラタまで失えば
 会澤組はどうなる?」

新は、男を見つめる。

「そんな事をして、どうなる?
 親父を殺すところを目撃した
 お前達は、この俺を
 許せるのか?
 
 馬鹿な事はやめて、その銃
 をよこせ」

男は、どうしたらいいのか
  
どうするべきなのか

・・・戸惑う。

「何してる、早く
 その銃を持って逃げろ
 そして、サツに
 垂れ込むがいい

『タカツキイオリが
 会澤の親分を
 撃ち殺すのを見た』
 
 と、さあ、早く」

「やめろ」
   
新の叫ぶ声が、ドアの外で
待機する要にまで聞こえた。
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