飴色蝶 *Ⅱ*
男は引き金に振らないように
銃を持ち、ドアを開け

外で待つ要の横を、申し訳
なさそうに一礼して
通り過ぎて行く。
   
その男の様子に、要は
変な胸騒ぎを覚えた。

壊れたドアは、少し開いたまま
の状態で止まる。
    
二人の声が、要の耳に届く。

「どうしてだ、どうして
 スミレを悲しませるような事
 ・・・タカツキ?
 
 奴が銃を持ち、あのままサツ
 へ向かえば、俺がこの場で
 捉えられ、幾ら親父を殺した
 のは、この俺だと本当の事を
 話しても、誰も信じては
 くれないだろう
   
 何の罪も無いお前が法に
 裁かれる事になる
 
 俺は、何の為にお前を・・」
 
「アラタ、お前には
 感謝している
 俺の命が今在るのは
 お前のおかげだ」
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