飴色蝶 *Ⅱ*
新は、庵を真っ直ぐに

見つめて言う。

「じゃあ、聞くが、お前を
 失ったスミレは身重の体で
 これからどうやって生きて
 行くんだ
 
 何年も帰って来ないお前を
 幼子と待ち続けるのか?
 
 そんな現実、あのスミレには
 耐えられない
 
 愛した女と産まれて来る子供
 に対しての、男の責任は
 どうする?
 
 二人に、寂しい思いをさせて
 構わないのか?
 
 俺やトモエの事なんかよりも
 もっと、お前には守らなきゃ
 いけない女がいるだろう
 
 それなのに、どうしてあんな
 馬鹿な真似を・・・」

「何でだろうな
 どうしてこんな事をしたのか
 俺にも、さっぱり分からない」
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