飴色蝶 *Ⅱ*
庵の怪我が心配で堪らない
菫の唇を、彼は強引に奪った後

優しく囁く。

「すみれ、今は黙って」

「でも・・・」

「黙って、俺を感じて」

イオリ・・・

貴方は、優しく私を抱く。

壊さないように、そっと優しく

優しく揺れる・・・

貴方の愛を感じて

私は、満ち足りる。

ベッドに座り、二人は生まれた
ままの姿で抱きしめあう。

私は、彼の背中に棲む黒龍を
指でなぞる。

庵は、菫を、そっとベッドに
倒して彼女のお腹に口づけた。

そして、お腹に手を当てて話す

「ごめんな

 こんな奴が、親父で」
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