飴色蝶 *Ⅱ*
「イオリ、聞いていい?
 赤ちゃんができた事
 あなたは、喜んでくれる?」

「ああ、嬉しいよ
 とっても・・・」

「良かったね、赤ちゃん
 ママと頑張ろうね」

庵は、刑期が終わるまで触れる
事のできない愛しい人と
産まれてくる我が子を想い
胸が締め付けられていく。

こんな事、間違っているのかも
しれない。

だけど、そうしないと
俺の気がすまない。
  
勝手な俺を許して・・・

雨がまた、降り出す。

少し開いた窓から、一頭の蝶々
がヒラヒラと空中を漂いながら
迷い込んで来た。

そして蝶々は、雨宿りをする
ように、窓の傍で羽を休める。

あなた

・・・あなたは

確か、あの日、消えた蝶々。
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