飴色蝶 *Ⅱ*
『あっ・・・』

飴色の羽を広げた、あなた

手を伸ばし、蝶々に触れよう
とした菫。

聞こえる貴方の声。

「すみれ、明日の朝
 
 俺は出頭する」

あなたは、また消えてしまった

貴方に、また逢えなくなる。

逢えなくなる・・・

ううん、逢おうと思えば
逢う事はできるはず。
 
だけど・・・

私は、貴方がこれから言うで
あろう言葉を推測できる。
  
貴方はきっと、こう言う。 

「怪我、痛む?」

菫は、庵の腹部の包帯にそっと
触れ、足の包帯を見つめた。

「ああ、でも大丈夫だ・・・
 今頃、警察は躍起になって
 俺を探しているだろうな
 ・・・・・
 スミレ、俺には時間が無い
 どこから話せばいいのか・・
『あの話』と言うのは
 子供の事なのか?」 

菫は、頷いた。
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